《父と私》

私にとって父は、何を話してよいのか、どう接してよいのか分からない存在だった。


父も、娘にどう接してよいか分からなかったそうだ。父自身、自分の父(私の祖父)に遊んでもらったことがなかったから。

かつて、父は病弱で、思うようにならない身体、痛みにいつもイライラしていた。

私は、父には頼れないと肌で感じていた。

父は父で、娘の私がしっかりしているから、自分の出る幕はないと思っていたそうだ。

私が大人になってから、「何も父親らしいことができなくて、悪かった」と父は言った。

しかし、思い出してみれば、父に与えられたこと、嬉しかったことはあったのだ。

今回帰省して、実家の食卓で
父に「感謝していること五つ」を伝えた。
・小学生の頃、リカちゃんに似た人形を買ってきてくれたこと。
・中学に入った時、「テナーサックスを買って」と土下座して頼んだ。母からは許可が出なかったけど、父の満期保険金がおりて、買ってくれたこと。
・大学の卒業式に来てくれたこと。
・初めてNEMOを実家に連れて行ったとき、「初めて会った気がしない」と言ってすぐに同棲OKしてくれたこと
・結婚式でハグしたこと。

五つ目を伝える時には涙が溢れた。
父は嬉しそうに、はにかんだ。

昨夜、父の行きつけのカラオケスナックで「恋のバカンス」をデュエットした。

昔抱えていた父への嫌悪感、一緒にいる気恥ずかしさがなくなって、
ただ素直に楽しかった。

 

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根本裕加(ねもとゆうか)